2003年度(第10回)鈴木・岡田賞

HODIC鈴木・岡田賞 選考委員会報告

選考委員長 橋本信幸

 2004年1月14日並びに4月7日に選考委員会を開催し、推薦候補として貢献賞1件、技術分野4件、芸術分野1件の候補があげられました。選考委員会で慎重に議論した結果、貢献賞1件、技術分野2件そして久しぶりの芸術分野1件が選考されました。また奨励賞の対象として若手のみでなく、異なる分野から入り短期間で優れた成果をあげた者も対象としました。

 

 

 

貢献賞:岩田藤郎 (凸版印刷(株)総合研究所)

授賞理由
1)HODIC会長を長年つとめ本会の発展に貢献(本会への貢献)。
2)特にエンボスホログラムを一つの産業にまで育てあげた(産業界への貢献)。
3)SPIEのチェアやコミッティーを長年つとめている(国際的貢献)。
4)若手芸術家の育成に力を注いだ(芸術界への貢献)。

 

技術部門 奨励賞:松島恭治 (関西大学 工学部先端情報電気工学科 助教授,博士(工学))

対象論文
「デジタルホログラムの合成と波動光学シミュレーションライブラリ」
HODIC Circular Vol23.,No.4(2003)

受賞理由
ホログラフィ以外の分野から入り、CGH計算ツールとしての波面展開法を応用した波面計算ライブラリを作成しこれを公開した。これにより誰もが比較的容易にCGHの計算を行うことが可能となった。

 

技術部門 奨励賞:宋玄鎬 (仁川専門大学)

対象論文
「立体映像表示システムの広視域化」
HODIC Circular Vol23.,No.3(2003)

受賞理由
従来のスレレオ投影用ホログラムスクリーンにフレネルレンズを組み合わせ結像機能を持たせたもので、ホログラフィに大きな回折パワーを持たせない分、色分散の影響を取り除く効果があり実用化が望まれる。千葉大博士課程に留学中の成果である。

 

芸術部門 奨励賞:西川智子 (湘南工科大学)

対象作品
「砂漠のはじまるところ」「ある石の記憶」
HODICアニュアル展示会(2004年3月)

受賞理由
未だ若手であるが技術的に一定レベルに到達しており、作家を続けていく意思も見られる。またアニュアル展示での作品(砂漠の始まるところ)は、過去にルディらが行った古典的な表現手法に類似するが独自考案した作品であり、芸術家としての片鱗をかいま見る事ができる。

 


 

受賞者のプロフィール

 

岩田藤郎(イワタ フジオ)
凸版印刷(株)総合研究所

[略歴]
1967年3月 千葉大学工学部写真工学科卒業
1969年3月 千葉大学大学院工学研究科写真工学専攻修了
1969年4月 凸版印刷(株)入社
1971年4月~1973年3月 東京工業大学像情報工学研究施設研究生
1985年~1999年 ホログラフィックディスプレイ研究会会長
1991年~現在 SPIE Optical Security Systems, Holographic Material, Practical Holography
プログラムコミッティー
1995年 3次元画像コンファレンス1995実行委員長

[主な業績]

[著書]

[受賞]

 


 

松島恭治(マツシマ キョウジ)
関西大学 工学部先端情報電気工学科 助教授 博士(工学)

[略歴]
1960年 大阪府大阪市に生まれる
1984年 大阪市立大学 工学部 応用物理学科卒業
1986年 同 前期博士課程応用物理学専攻修了
1990年 同 後期博士課程単位取得退学後,関西大学 工学部電気工学科 勤務
2003年 関西大学 工学部先端情報電気工学科 助教授
 

[抱負]
大変素晴らしい賞をありがとうございます.計算機合成ホログラムの分野は単に光学にとどまらず,情報処理技術・電子工学技術が融合した学際的な分野と考えています.その中で,純粋にソフトウェア的な仕事が高く評価され,ほんとうに嬉しく思います.今後とも,光学技術・情報技術のハイブリッドなフィールドで良い仕事を続けて行きたいと考えております.

[主な業績]

[受賞]

 


 

宋玄鎬(ソン ヒョン ホ, Song Hyun Ho)
仁川専門大学 副教授 博士(工学)
1964年8月5日生 40歳

[略歴]
1990年2月 韓国釜山工業大学校 印刷工学科 卒業
1994年3月 千葉大学大学院 画像計測講座修了 修士(工学)
2003年9月 千葉大学大学院 情報科学専攻 画像科学講座修了 博士(工学)
1994年8月~2004年5月現在   韓国市立仁川専門大学 画像印刷科
1996年助教授, 2000年副教授

[抱負]
ハイブリッド・ホログラム・スクリーンを用いて大画面立体映像を表示できるシステムについて研究を行って来ました。今後も、ハイブリッド・ホログラム・スクリーンにおいて視域拡大・多眼式を実現させ人にやさしい、使いやすい、立体映像表示システムを達成し、実用化を目指して研究を進めて行きたいと思います。

[研究業績]
I.論文

  1. 宋 玄 鎬, 渋谷 岳人, 本田 捷夫:大画面立体ディスプレ用ハイブリッド・ホログラム・スクリーンの開発, レーザー学会誌、Vol.30, NO.20, pp737-741,2002,12
  2. 宋 玄 鎬,桃井 芳晴,渋谷 岳人,本田 捷夫:大画面立体ディスプレイ用ハイブリッド・ホログラム・スクリーンの開発(40インチ型の作成とその性能測定), レーザー学会誌, Vol.31, NO.10, pp674-678,2003,10

II. 口答発表

  1. 宋 玄 鎬, 渋谷 岳人, 本田 捷夫:2眼立体ディスプレイ用大型ハイブリッド・ホログラム・スクリーン, 3次元画像コンファレンス発表論文集2002, pp177-180,2002
  2. 宋 玄 鎬, 渋谷 岳人, 岩根 弘亮, 小林 聡美,本田 捷夫:ハイブリッド・ホログラム・スクリーンによる立体映像表示システムの視域拡大, HODIC Circular, Vol.22, No.3, pp14-17,2002
  3. 宋 玄 鎬,桃井 芳晴,渋谷 岳人,本田 捷夫:オ-トステレオスコピック・デイスプレイ用大型ハイブリッド・ホログラム・スクリーン作成と視域の評価,高臨場感フォラムディスプレイ,pp25-28, 2002
  4. 宋 玄 鎬,桃井 芳晴,渋谷 岳人,本田 捷夫:オ-トステレオスコピック・ディスプレイ用40インチハイブリッド・ホログラム・スクリーンとその多眼化,3次元画像コンファレンス発表予稿集pp1-4, 2003,7.1

II-1 国際会議

  1. Hyun Ho Song, Yoshiharu Momonoi, Taketo Shibuya, Toshio Honda, Development 40-inch hybrid hologram screen for auto stereoscopic 3-D display system, IS&T/SPIE’s 16th Annual Symposium,2004/1/18-22,San Jose,CA,USA

 


 

西川智子(ニシカワ サトコ)
湘南工科大学・大学院

[略歴]
1977年1月15日生まれ
1992年4月 神奈川県立上鶴間高校 入学
1995年3月 神奈川県立上鶴間高校 卒業
1996年4月 湘南工科大学 工学部 電気工学科(現電気電子メディア工学科) 入学
2000年3月 湘南工科大学 工学部 電気工学科 卒業
2000年4月 湘南工科大学大学院 工学研究科 電気工学専攻 博士前期課程 入学
2002年3月 湘南工科大学大学院 工学研究科 電気工学専攻 博士前期課程 卒業
2002年4月 湘南工科大学 工学部 電気電子メディア工学科 研究生として在籍
2003年4月 湘南工科大学 工学部 電気電子メディア工学科 研究員として在籍
2003年6~9月 Holocenterにインターンとして在籍
2004年4月 湘南工科大学大学院 工学研究科 電気工学専攻 博士後期課程 入学 現在在学中

[抱負]
今回、このようなすばらしい賞を頂いたことを、心から嬉しく思い、まるで夢のように感じます。受賞することができたのも、研究室の佐藤甲癸先生をはじめとするHolocenterの皆さんの協力がなければ、できなかったことでしょう。ホログラム製作をサポートして頂いたすべての人に感謝すると同時に、これからもより一層ホログラム製作に力を入れていきたいと思います。